僕は中学の時から三国志が大好きで、横山光輝の漫画は親父や兄弟と一緒に全巻揃えたし、他にもいくつかの三国志の漫画やアニメ、映画、小説を楽しんできた。
「レッド・クリフ」もあちこちで予告や宣伝を目にするうちに、またもや三国志熱が燃え盛り
今作は三国志の物語の中で、三国成立の契機となった「赤壁の戦い」を映画にしたもの。
監督のジョン・ウーが長年温めてきた構想がついに実現。製作費100億が投じられ、中国だけでなく日本、米国の一流のスタッフを揃えて完成された一大スペクタル巨編。二部構成で今回はその第一部だ。
西暦208年、中国王朝後漢の幼い皇帝・献帝を擁し、全ての実権を握る曹操(チャン・フォンイー)は華北(中国大陸の北半分)を支配し、次は華南の長江流域を攻め込んで全土統一を果たそうとしていた。
その華南方面には、漢王朝の血をひき、曹操と対立して漢の復興を目指す劉備(ユウ・ヨン)と、江南の地を治めている若き君主・孫権(チャン・チェン)の二大勢力が身を構えていた。
曹操はまず劉備のいる荊州の地を攻め込む。自分を慕う民の皆を連れたまま、殲滅にはならずとも辛い敗退を続ける劉備。
そこで劉備に仕える才覚溢れる軍師・諸葛亮孔明(金城武)は、孫権と同盟を結んで曹操と対峙する事に活路を見出す。
孔明は使者として江南の地に行き、孫権と、その孫権を支える水軍司令官の知将・周瑜(トニー・レオン)と顔を合わせる。
出会った瞬間から互いの知と心を認め合う孔明と周瑜。やがて二人は信頼を深め、周瑜は孫権に劉備と同盟を組んで曹操を倒すべきだと進言する。
反戦派の老臣達の反対を押し切り、君主として迷いを打ち消して同盟を結び、曹操に戦いを挑む一大決心を固める孫権。
一方、曹操は八十万もの兵を率いて江南に迫ろうとしていた。長江に浮かぶ2000隻もの曹操の大船団。
そして、曹操の中には秘めやかな願望があった。江南の絶世の美女と言われる、周瑜の妻・小僑(リン・チーリン)。その小僑を自分のものにしたいという願望を抱き、曹操は優雅に船に揺られていた。
愛する我が妻と国を守る為に静かに闘志を燃やす周瑜。君主の復漢の願いを果たす為に己の知略を研ぎ澄ませる孔明。
劉備・孫権同盟軍と曹操の大軍勢の決戦の地は、長江の要所、赤壁ー。
ふぅ
しかしこの映画、大満足の出来だった
今作の主役は周瑜と孔明。
かつての三国志物語では、互いの力を認めながらも腹の中では互いを危険視し、上辺の結束を結んだだけの関係に描かれる二人だが、今作では心から信頼し合い、意志を共にして軍の指揮を摂る。
三国志で周瑜と言えば、プライドが高く、ナルシストで、知はあるが人柄は狭小で冷酷、結局は孔明に翻弄され続けるというイメージがあるが、今作ではそれを真っ正面から変えた。
妻を愛し、君主を慮り、国と民と兵を大事に思う正義感ある好漢。
僕は上記のネガティブなイメージがあるので、観る前はトニー・レオンは周瑜に合っているとは思えなかったが、今作の主役としての周瑜には充分に適してる感じだ。
諸葛亮孔明を金城武が演じるというのは驚きだった。
しかし、これも適役。年齢的にも、そして端正な外見と聡明な雰囲気はヒーローとしての孔明像に合っている。特に金城武は他の役者と比べても眼がきれいなので、どこか常人離れしていても正義心ある孔明の存在感を醸し出してる。
そして劉備に仕える豪将、関羽、張飛、趙雲の存在もお見事。これまでの三国志ファンにとっての外見的イメージを忠実に守り、前半・後半それぞれに戦場での活躍の場を充分に用意したのもファンにとっては満足の出来だろう。実際、僕もえらく興奮した
趙雲役のフー・ジュンという俳優は、謹厳実直で忠誠一筋な趙雲のイメージにピッタリ。三国志エピソードの中でも有名な、曹操軍の猛攻を受けながらも、劉備の幼子を抱いて死線をくぐり抜けるシーンは文句なしに格好いい。三国志を全く知らない僕の奥さんも、そんな趙雲の姿に惚れたようだ(笑)
関羽役のバーサンジャプもまさに関羽そのもの。バーサンジャプは何とチンギスハーンの末裔のモンゴル人で、チンギスハーン本人の役を演じた事もあるそうだ。その威厳と貫禄たっぷりの立ち振る舞いで、中国では神として奉られてもいる関羽を完璧に演じている。
劉備役のユウ・ヨンも優しく寛大な雰囲気は劉備に合ってるし、僕が個人的に好きな魯粛役のホウ・ヨンのコミカルな脇役演技も、場を和ませている。
曹操は数々の三国志作品同様、冷徹で野心に満ちた悪役として描かれているが、チャン・フォンイーという役者の演技が非常に魅惑的に映る。
小僑役のリン・リーチンはこれが映画デビューとは思えない程の堂々とした演技を見せる。透明感と色気があって、絶世の美女と確かに言われそうな説得力がある。
孫権役のチャン・チェンも、後に江南の覇王と言われる若き君主のカリスマ性と迫力と苦悩を表情に漲らせている。
ピエール瀧に似ている事が終始気になったけど、それはそれ(笑)
とにかく役者全てが遜色なし。
「赤壁の戦い」を、愛する者を守る想いや、己の正義と使命にかける想い、そして共に闘う「友」との絆、というテーマを基に巨大なスケールで描いた感のある今作。
長きにわたって多くの人々に愛されている三国志の根幹を充分に理解し、同時にさらに王道ど真ん中なアレンジを加えて作り上げたジョン・ウーの気概と手腕は素晴らしいと思う。
ただ、不満を挙げるならば、序盤の反射鏡による太陽光利用の戦術や、孫権の妹の尚香が戦術の施行に参加する事、戦いの最中の唐突なギャグ描写、指揮官の周瑜自らが敵兵の中で直接戦うシーンなどはちょっと違和感があった。戦闘シーンも、生身の役者の動きを丹念に追ったリアリティあるものだっただけに、それがちょっと残念
周瑜の戦うシーンは、周瑜を主役にした上ではどうしても必要な展開なのかもしれないが。
いずれにせよ、今回はPart1。次の第二部が、ファンによく知られている場面をどう描写し、どんなアレンジを施し、戦いの結末をどう結ぶのかとても気になる。
第二部は来年4月に公開。まだまだ楽しみは終わらないー。
三国志初体験の奥さんも大満足だったようで、三国志ファンの僕としては正直ホッとした
奥さんは日本の戦国時代や幕末の時代劇が大好きだから、きっと気に入るだろうという期待はあった。
趙雲にハートを射抜かれたところを見ると、目論み通りといったとこかな
【日記の最新記事】


